?@ いわゆる「電子貨幣」についての議論が盛んとなっているが、その対照は様々な形態の「電子貨幣」を念頭においているものと考えられる。よって、検討を進めるにあたっては、想定される課題毎に、「電子貨幣」の特性を整理することが必要であろう。
?A 電子貨幣については、債務履行手段であることには変わりないので、決済としての実効性(ファイナリティ:完了性)をいかに確保するかという問題がある。
決済の実効性とは、取引当事者が決済により取引を完了させ、その効力が覆される懸念を持つことなく次の取引に取り組めることで、これを確保するためには、支払指図等の情報伝達が的確に行われることとともに、対価として支払われる決済手段の価値を安定したものとすることが求められる。
?B 電子貨幣の価値を安定したものとするためには、「債務者(電子貨幣の発行者)が誰であるのか」を明確にした上で、当該発行者の健全性をいかに確保するかという問題がある。例えば、発行者が破産した場合に、利用者の債権の保護をどのように考えるかなどがあげられる。
(参考1)
全銀システム(全国銀行データ通信システム)では、資金決済の健全性確保のため、仕向超過額管理制度により加盟銀行ごとに仕向超過額(引落額−入金額)を管理し、また、加盟銀行が資金決済ができなくなった場合、日本銀行が一時的に立て替えて決済を完了するが、日本銀行が負うリスクを解消するため、加盟銀行は一定額の担保を差入れ、更に差入れ、更に差入担保に不足が生じた場合には加盟銀行が全体で共同責任を負うことが制度化されている。